【使用者賠償責任】労働災害を考え、備える


こんにちは!最近アロマクラフトづくりにはまっている営業部の嵩下です。
先日クレイパックを作ったのですが、クレイを見て杭工事のベントナイト液に思い至ったのは職業病だと思いました。

さて、本日のテーマは労働災害を考え備えるです。
弊社では保険代理店業も営んでおりまして、先日は保険募集人として研修会に参加しました。

研修での主なテーマは「業務災害補償保険の使用者賠償責任補償特約・雇用慣行賠償責任補償特約」でした。
保険商品の研修でしたが、いろいろと考えさせられることがありました。

使用者賠償責任補償特約と雇用慣行賠償責任補償特約

使用者賠償責任補償特約とは、業務上のケガまたは病気のために事業者等が負担する法律上の損害賠償責任や訴訟費用等を補償する特約で、いわゆる労災上乗せ保険といわれる「業務災害補償保険」に附帯されるものです。
一方の雇用慣行賠償責任補償特約は、雇用トラブル(差別的行為、ハラスメント、不当解雇等)による損害賠償請求に備える特約です。

労働災害の推移と、労働者を保護する環境の整備

労働災害で亡くなった方は減少傾向にあります。
1998年に1,844人を記録し、2012年には1,093人まで減少しました。
私見ですが、労働災害防止活動の効果が出つつも、労働者数の減少があるのではないかと考えています。
数字にすると「減少してよかった」で片付けられてしまうかもしれませんが、1,000をこえる方それぞれの人生に思いを馳せれば全く良い状況ではありません。

労災で亡くなる方は減少しているものの、脳・心臓疾患、精神障害により亡くなった方の割合は上昇しています。
脳・心臓疾患による労災請求件数は過去14年で2倍に増え、認定件数は4倍に増えました。
また精神障害による労災請求は同じ期間で30倍にも増え、認定件数はなんと120倍に増えました。

増加の背景として、2000年に起きた某企業での過労自殺をきっかけに、労働者を保護する制度が整備されたことがあります。
2006年に労働問題解決のため「労働審判制度」が誕生し、2008年には労働契約法が施行されて安全配慮義務が明文化されました。

安全配慮義務が明文化される前までは、労働者は企業に損害賠償請求を行うために、企業の故意または過失を企業の「不法行為責任」として労働者側が立証する必要がありました。
明文化後は、労働者が安全配慮義務違反を企業の「債務不履行責任」として訴えることで、企業側は帰責事由のないことを立証する必要が発生しました。帰責事由がないことの立証は高いレベルで求められます。
このようなことから、損害賠償請求では、労働者が立証する必要のない不法行為責任ではなく企業の責任を追及しやすい安全配慮義務違反による請求が現在の主流となっています。

社会的風潮の変化を反映し、判決・法改正が労働者を尊重する方向に進み、労働者が訴えやすく勝ちやすくなってきているといえます。

賠償の高額化と、中小企業のリスク

前述の背景から、労働者は企業への責任を追及しやすい一方、企業側はリスクが高まっているといえます。
近年認定された損害賠償額は増加傾向でその額は1億円を超えることもあり、特に中小企業にとって高額な賠償金の支払いは企業の存続にかかわる大きな問題です。

「リスクがあるところに保険あり」ということで、冒頭の保険商品(特約)の加入が増えているそうです。
労災認定には時間がかかり、政府労災保険等の補償が行われるまでには時間がかかります。
補償の対応スピードの速い業務災害補償保険を充実させることは、労働者・企業双方の安心につながるのではないでしょうか。

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