こんにちは。営業部の山口です。
生産緑地が誕生したのは今から半世紀を遡ること、1970年代前半です。当時は人口増加により都市化が急激に進み、都市部にある農地がどんどん宅地に転用されました。その結果、住環境の悪化や保水機能を失ったことに起因する自然災害が多発し、大きな社会問題となりました。この問題を抑止するため、1972年に制定されたのが生産緑地法です。
但し、生産緑地法施行後も農地の宅地化が止まらなかったため、1992年に生産緑地法が改正され、市街化区域内の農地は次の2種類に区分されました。
■生 産 緑 地・・・農地として保全する農地
■宅地化農地・・・宅地化を進める農地
生産緑地に指定されると固定資産税がとても低い金額に抑えられます。宅地と比較すると数百分の一程度と大幅に軽減されます。さらに一定要件の下に相続税や贈与税の納税猶予が受けられます。そのかわり一定期間にわたり生産緑地を農地として管理・維持しなければならない営農義務が課せられますので、どちらが得策なのかは一概にはいえません。
生産緑地法は、緑地の有する環境機能などを考慮し、農林・漁業との調整を図りつつ、良好な都市環境を形成する目的で制定されました。しかし都市化による土地不足と地価上昇は止まることを知りません。緑地の環境機能を維持するために農地として保存すべき生産緑地と宅地への積極的な転用を進めていく宅地化農地。土地の目的を大きく2つに分けた結果、都市計画において一定の効果が得られた制度は、法改正を重ねながら現在に至っている次第です。